過去のこと


重い雲がやってきた。
雨が降っては
乾いた葉を落として
北の風は一歩一歩確実に近付いてきてる。

そんなときにふと思い出した。
八年前のあの日を。
それは焼けるような七月のある日。
すっかり忘れていた。
初めてだった。

壊れた日。
涙を流すまいと耐えた日々。
今だここに残る傷跡。
足の傷よりも重いこころの傷跡。
あんなに重かったこころの枷が
いつの間にか綺麗に消えていた。
だいぶ薄れていたことだったけれど
ここまで忘れることが出来るなんて思っていなかった。

あんなにこころを支配していたのに。
あんなに吐き出してしまいたかったのに。
もう 完全に昔のことね。
跡は残っているけれど
そこにあるのは痛みを乗り越えた強さ。

過去を振り返るんじゃなくて
今を選び取っていく。
一日の重さを知った初めての夏。
時間を無駄にはできないから
思い出して悲観するなんてもうしないだろう。

大丈夫だよ。
笑っているから。

もう独りじゃないから。









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