扉
理解されるはずなどないと
思い込み閉ざした扉を
今 放ってあげよう
腕に刻む勇気はなかったわたしにも
暗い影を落とし続ける過去
人に世界に
許されるのが叶わないのなら
せめてこの痛みで許されたかった
涙一滴すら 零れず
それは傷を昇華するために
存在が薬であり道であり 光だった
そして扉が ひらいて
許しをくれたあなたは
はるかに多くの傷を
抱えていたのに
血まみれの腕は知っていた
痛みを
だから
扉の向こうは
恐ろしく無防備で
余りに黒くて
そして暖かく
確かに脈打っていた
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