体温
ほんの ひとしずくの言葉で
途方もない距離がうまれる
ほんの 一瞬の接触で
それは 解けてなくなるのに
雨雲は 絶え間なく流れて
つないだ手も何もかも
時間がさらってしまった
残ったのは 消えていく温度。
事実だけがここに残り
真実は見えないまま
ほんの ひとしずく
あなたが見えなくなる
閉めた扉の先に 遠ざかる足音と
近付いてくる雨雲
風が吹いて 立てなくなる前に
眠りについてしまおう
残り香を集めて
あなたの体温は残っていないのに
ひとりきりで
もう眠ってしまおう。
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