息吹


めぐるめぐる遠い記憶
なのに痛みもなく安らかに
ひかるひかるあなたの記憶
果てなく　続く　咲き誇る桜のように


この身体に残るたくさんの傷跡も
消し去りたいあのころの
ひどく馬鹿げた思い出も
あなたは責めもせず同情もせず
すべて　すべて　あたしのすべてを

まわるまわる赤き河のほとり
小さな種子が芽吹くように
とおくとおく見えた未来に
気高く　鮮やかに　生きていけるように


傘も持たずに飛び出した雨の日と
立ち返るひとつ前の
縺れた糸の伝う腕
あなたは少しだけ震えるように
すべて　すべて　あの日のすべてを



どうしてどうして必要としてくれる
あたしの　涙も　すべて
すべて　そう　美しい花に


あかくあかく流れた血の河
その色をした傷跡と
ひかるひかるあなたへの記憶
果てなく　続く　咲き誇る桜のように

気高く　鮮やかに　あなたを愛せるように