欲張り


居てくれるだけでいい　って言った。
確かに言った。
それは本音だった。
でもね
欲しいものはどんどん大きくなるばかりだよ。


笑ってくれるだけで良かった。
ちょっと話するだけで良かった。
いつの間にこんな欲張りになったんだろう。

あなたのいる空間にわたしがいて
それで良かったのに。

その手に少し触れたのに
置いていかれた子供みたい。
途方に暮れて立ち尽くして
ちっぽけな期待にすがりつく。
涙を抑え続けて。

どうしてあの時　手を差し伸べてくれたの？
もう　そうしてはくれないのかな　なんて　思ったりする。


それなのに・・・

たった一度笑ってくれるだけで
わたしがどれだけ救われてるか
分かってないんでしょう？
自覚症状がないなんて　ずるい。

それだけでいいって
前みたいにそう思えればいいのに。
自分に言い聞かせる。


期待のかけらはやっぱり捨てきれないけれど。
いつだって走っていけるように。